経済・投資

アルゼンチンの通貨ペソの急落を引き起こした3つの原因

こんにちは。モアイパパです。

アルゼンチン・ペソの下落が止まりませんね…

2018年5月14日のブエノスアイレス市場では、1ドル=24.99ペソで終了。

同国の中央銀行が必死に緊急利上げを繰り返すも、過去最安値を更新してしまいました。

大統領がIMFに支援を要請する事態にまで発展しています。

アルゼンチンの経済に、何が起こっているのか?

この記事では、今回のペソ急落の原因を探ってみたいと思います。

背景:アルゼンチンは債務危機の常連さん!?

今回のペソ暴落の調べる前に、まず、世界経済史の中でのアルゼンチンの立ち位置を確認しておくと、この国の経済への理解が深まると思います。

同国は(いまでは信じられませんが)20世紀の初頭は、世界中でも最も経済が成長している経済大国のひとつと考えられていました。
いまの中国のようなイメージでしょうか。

とくに英国からの資本の投資により、農業や畜産業が隆盛。多くの移民がヨーロッパから移住し、首都ブエノスアイレスは「南米のパリ」とも呼ばれ、貿易の中心地として盛えました。

>> 経済大国から転落したアルゼンチンのGDPと経済史

しかし、その後の同国の経済は、決して順風満帆ではなかった。

歴代政権が有権者に気に入られようとして、いわゆる「バラマキ政策」をこりずに連発。

結果、アルゼンチンは過去になんと8回もデフォルトを発動しています。

デフォルトとは、かた苦しい表現だと「債務不履行」。
要は、借りたカネを返さずに踏み倒すこと。

好きなだけ借金して、国民にバラまいて、首が回らなくなり借りたカネを返せなくなって、、

高い利回りに魅かれてアルゼンチン債に投資してきた投資家は、過去に何度も泣かされてきました。

債務不履行が原因で、アルゼンチン国債への投資で損失を出したいくつかの投資ファンドから訴訟を起こされたこともあります。

なので、今回のペソ暴落騒動も、世界の投資家からすると「また、デフォルト騒ぎ?」くらいに思われているわけです。

ペソ暴落の原因

ふくらむ経常赤字

アルゼンチンの経常収支は、たびたび赤字に陥ってきました。

↓アルゼンチンの経常収支の対GDP比を、1980年から2018年にかけてグラフ化したものです。


(出典:tradingeconomics.com

マイナス、つまり赤字に苦しんでいる時期のほうが長いですよね、、

2009年まではプラスを保っていましたが、2010年から再びマイナス圏へ。

2017年には、経常赤字がGDP比で5パーセントまで膨らんでいます。

赤字。
つまり、国外から入ってくるお金よりも、出ていくお金のほうが多い状態。

この中で生活をやりくりするには、

  • 手持ちの資産を売ってお金に替える
  • 誰かからお金を借してもらう

・・・のいずれかしかありませんが、赤字の規模が国民総生産の5パーセントもあるというのは、家計に例えると「火の車」。

大変な状況です。

ふくらむ対外債務(借金)

アルゼンチンは財政が赤字なので、海外からもお金を借りてなんとかしのいでいる状態ですが、その借金の額が、どんどんふくらみ続けています。

↓1994年~2018年のアルゼンチンの対外債務の推移。2016年から急激に債務が増え、2,000億ドルを突破しています。


(出典:tradingeconomics.com

国が借金まみれになると、人々はアルゼンチンの通貨ペソを信用しなくなり、「誰もペソを使わなくなるんじゃないか」と考え始める。

結果、モノに対するペソの価値が下落し、インフレに。物価が高騰し、悪化するとハイパー・インフレになってしまいます。

そもそもアルゼンチンの国民からして、自国の通貨ペソを信頼していないと言われています。

「またいつものインフレかよ、、こんなショボい通貨を持っていても意味ないわ、、」となる。

ウンザリした国民は、ペソを売って安全資産の米ドルを買う行動に出ます。

そうなれば、ペソの不人気に拍車がかかり、さらに下落するスパイラルに、、

ちなみに、ブルームバーグ社が算出している(経済の)ミザリー(悲惨)指数で、2018年にアルゼンチンは3位にランクインしました。

米国の長期金利の上昇により資金の流れが逆流

2015年の大統領選挙で誕生したマウリシオ・マクリ政権は、それまでの保護貿易主義的な政策からの脱却を宣言。国際金融市場への復帰をめざす同政権下で、アルゼンチン中央銀行は、29パーセントもの高金利でLebac債(中短期のアルゼンチン国債)を発行します。

銀行を含む海外の投資家が、このLebac債をこぞって購入しました。

低金利でドルを借りて(資金調達して)、Lebac債を購入するだけで、高い金利収入のリターンを得られる。

いわゆるキャリートレードです。

>>BBC News – Argentina economy: From comeback kid to turbulence

しかし、このような不自然に美味しい話が、いつまでも続くわけもありません。

米国の長期金利(米国10年国債利回り)が上昇しはじめると、投資家はアルゼンチン債にあてていた資金を急激に引き上げはじめました。

資金の逆流です。

投資家からすると、世界中で最も流動性が高く安全な資産と言われている米国債をだまって保有しているだけで、3パーセントもの利回りを得ることができる。

いくら利回りが良いとはいえ、借金を踏みたおす可能性がある国のソブリン債に、わざわざリスクを取って投資する理由がなくなってしまったわけです。

まとめ

この記事では、ペソ急落について以下3つの要因を見てきました。

  • 膨大な経常赤字
  • ふくらむ対外債務
  • 米国の長期金利上昇による資金の流出

個人的には、今回のペソ騒動は、世界的な金融危機を引き起こすような重大イベントとはならないだろうと考えています。

アルゼンチンが債務危機の常習犯であることを世界中の投資家が知っていて、リスクを割り切って投資していると思われるためです。

逆に危ないのは、「国債の流動性が高くて需要もあるから、いくら国が借金をふくらませても債務危機など起こるはずがない」と、皆が油断している国ではないでしょうか。

誰も予測しないようなところに、ブラックスワン・イベントは潜んでいるのだと思います。

どこの国とは申しませんが、、(汗)

ABOUT ME
モアイパパ
妻と子供ふたりの四人家族。 東京都武蔵野市在住。 ネット系IT企業勤務。 株式投資歴10年以上。投資の失敗経験もあり。 美味しいお酒と、音楽を聴くのが大好き。とくに、ジャズ、60年代~70年代の米国・英国のポップ音楽。