経済・投資

その資産は「不況」に本当に強いのか?リーマンショック時の値動きを検証してみた

投資のイメージ

こんにちは。モアイパパです。

世の中には、「不況に強い」といわれている資産がいくつかあります。

ここ10年ほどだと、主に以下の資産が、「不況に強い」といわれてきました。

  • 金(ゴールド)
  • ディフェンシブ銘柄の株式
  • 日本円

はたして、本当に、これらの資産は不景気に強いのでしょうか?

不況のときに株価が上がる銘柄なんて、あるのでしょうか??

この記事では、これらの資産が、2008年からの世界的不況の中でどのように値動きしたのか?を検証してみたいと思います。

金(ゴールド)

金は、その昔から「安全資産」と呼ばれ、不況に強いと言われてきました。

では、2008年のリーマン・ショックから欧州債務危機へつづく流れで世界経済がパニックになっていた時。

金価格は、どのように動いていたのか?

世界的に最も規模の大きな金ETFである「SPDRゴールド・シェア(GLD)」の価格の動きを調べてみましょう。

GLDチャート
(出典:Yahoo! Finance

2018年9月18日に、リーマン・ブラザーズが経営破たん。

いわゆるリーマン・ショック勃発(ぼっぱつ)の直後は、1か月かけて70ドル付近まで急落。

でも、その後はスルスルと上昇を開始。

ギリシャの債務問題がきっかけで火がついた欧州ソブリン危機で世界中がアタフタする中で、2011年8月末には、最高値の183ドルまで上昇しています。

当時、ギリシャでは緊縮財政による生活苦にキレた国民がデモを起こし(死人も出た)、南欧諸国の失業率は深刻なレベルまで悪化していたのを思い出します。

南欧諸国の国債価格も、暴落しました。

2012年には、ギリシャ国債は36.5%というありえない利回りを記録。

さらに追い打ちをかけるように、2011年には日本で東日本大震災がおこっています。

この時期は、まちがいなく世界的な「不況」だった。

同じ期間に金価格が上昇していたということは、(過去のデータを見る限りは)金は不況に強い資産である、といえそうです。

金鉱株ETFへの投資で注意したい3つのリスクに書きましたが、世界的に今後の金利が上昇トレンドに入る場合、金は必ずしも「安全資産」ではなくなります。

ディフェンシブ銘柄の株式

「ディフェンス」という言葉、サッカーなどで聞いたことがないでしょうか?

「守備」「守る」といった意味です。

転じて、株式投資の世界では、相場の下落時にもあまり株価が値下がりせず、資産を「守ってくれる」銘柄のことを、「ディフェンシブ(defensive)銘柄」と呼びます。

ディフェンシブ銘柄とみなされるのは、おもに、不況時にも売上がそれほど変わらない業種の企業。

生活消耗品、食品、電力・ガス、鉄道・バス、通信など。

好景気だろうが不景気だろうが、それがないと人々の生活が成り立たない生活必需品やサービスですね。

では、ディフェンシブ銘柄は、前回の不況時にどのような動きをしていたのでしょうか?

生活必需品

生活必需品の分野で世界的な企業といえば、ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)

バンドエイド、綿棒、ボディソープ、などなど。不況だからといって、ケチるわけにはいかない必需品ばかり作っています。

ジョンソン&ジョンソン株価チャート
(出典:Yahoo! Finance

リーマンショックのあとはさすがに株価も下落して50ドル台を割り込んでいるものの、すぐに復調。
スルスルとゆるやかな上昇を続けています。

このチャートで見ると、リーマンショック時の下落も「暴落」と呼ぶほど大げさなものではなかったことが分かりますね。

では、次は食品を見てみましょうか。

食品

食品・飲料業界で世界的な企業といえば、コカ・コーラですね。

不況だからといって、コーラとかソフトドリンクを買うのをガマンして水道水しか飲まない、という話はあまり聞いたことがありません。

コカ・コーラ株価チャート
(出典:Yahoo! Finance

リーマンショック直後は20ドル近辺まで下落していますが、こちらもすぐに回復。

2010年後半には最高値を更新しています。

ちなみに、ジョンソン&ジョンソンよりも値動きが激しく見えるのは、株価の変動した幅が小さいからです。

2018年の1月につけた高値48ドルまで、底値から30ドルも動いていませんから。

さて、次は公益事業分野を見てみましょう。

ガス・電力発電

ネクステラ・エナジー社(NYSE:NEE)。風力発電では米国最大、再生可能エネルギーでは世界最大規模の企業です。

ネクステラ・エナジー 株価チャート
(出典:Yahoo! Finance

株価チャート、ジョンソン&ジョンソンと似た動きをしていますね。

リーマン・ショック後は急落するものの、じわじわと回復。
2012年後半には最高値を更新しています。

このようにして見ると、いわゆるディフェンシブ銘柄は、リーマン・ショック級の経済危機ではさすがに下落はまぬがれないものの、たしかに立ち直りが早い。

経済全体が不況でも自力で稼ぐチカラがあるから、市場からも安定した評価を受けやすいのでしょうね。

安定したディフェンシブ銘柄だと思って保有していても、とつぜん株価が暴落する企業もあるので、油断はキンモツです。

例えば。

かつて、安定した超一流企業といわれ、配当利回りも高い、日本の電力会社がありました。

あまりにも業績が安定していて、配当も良いので、退職金でその企業の株式をたっぷり購入する人もいました。

だれしもが、優良な「ディフェンシブ銘柄」だと考えていました。

2011年3月11日までは…。

日本円

「世界的なリスク回避姿勢の高まりから、安全資産である金・日本円に資金が逃避し…」

この言い回し、メディアの報道で、よく目にしませんか?

とくに、2008年から2018年までの10年間。

テンプレを用意してコピペで使いまわしているんじゃないか、と思うくらい…(笑)

では、円は本当に「不況に強い資産」と言えるのでしょうか?

こちらはドル円のチャートです(※値が低いほど、「円高」。つまり、円がドルに対して「高い」ことになります)

ドル円チャート
(出典:Yahoo! Finance

リーマンショックの直後は、15円以上の円高になって、いきなり1ドル90円を割り込んでいる…!

その後、欧州危機で、さらに円高は進行。

そして、2011年の東日本大震災のあとは、民主党政権下で経済がさらに沈み込み、なんと75円台をタッチしています。

つまり、2008年からの世界的「大不況」の中で、(他の通貨に対する)円の価格は「急上昇した」ことになります。

さて、気になるのは、日本円の今後の動きです。

これからも、日本円は「不況に強い資産」であり続けられるのでしょうか?

…こればっかりは、あまり明るい未来が見えないですね…。

2020年のオリンピック後の日本の経済は、構造的に下方へ向かう要因が多すぎます。

  • 社会保障費の増大による財政破綻
  • 日銀の異次元緩和(国債買い入れ、ETFなどの資産買い入れ)の副作用
  • いっこうに進まない規制緩和

日本の財政が不安定になったら、海外の投資家からの日本円に対する信頼も、保ちつづけるのは難しいでしょう…。

最後に

今回の記事では、「不況に強い」といわれる資産が、リーマンショックを景気とする世界大不況の時にどのように値動きしたのか?を検証してきました。

記事を書いていて、気づいたのですが。

私たちは、過去のデータを手がかりに、未来を予測するしかないのですよね。

例えば、リーマンショックのときには、金価格はたしかに上昇しました。

これは、明らかな事実。

でも、だからといって、将来に同じような危機が起きたときに、金価格が必ずしも上昇するとは限らないわけで…

過去のデータは、未来を約束するものではない。

過去の歴史からは、謙虚に学びつつ。

「もしかしたら、過去のデータは当てはまらないかもしれないぞ…!?」

そんな緊張感も、しっかり持っておくこと。

私たち投資家に求められているのは、そんな姿勢なのかもしれません。

ABOUT ME
モアイパパ
妻と子供ふたりの四人家族。 東京都武蔵野市在住。 ネット系IT企業勤務。 株式投資歴10年以上。投資の失敗経験もあり。 美味しいお酒と、音楽を聴くのが大好き。とくに、ジャズ、60年代~70年代の米国・英国のポップ音楽。