こんにちは、まねきネコです。
私が身をおいているWeb業界は、転職が当たり前の世界です。
私は、かれこれ20年に渡り、Web業界でWebディレクター・企画職の仕事をしてきました。
仕事人生の中で、私自身がWebディレクターから大手企業へ企画職として転職した経験がありますし、身の周りでも、転職するWebデザイナーを数多く見てきました。
いわゆる「成功」と呼べる幸せな転職を果たすデザイナーの方はもちろんいますが、残念ながら、転職に失敗してしまう方、「こんなはずではなかった…」となってしまう方も、少なからずいます。
Webデザイナーの方の様々な転職事例を見聞きするうちに、転職に失敗した方の「転職理由」には、いくつかの共通点があることに気づきました。
今日は、転職に失敗しがちなWebデザイナーに共通する転職理由について、お話したいと思います。
もし、あなたがWebデザイナーで転職を考えているのでしたら、少しでもご参考になれば幸いです。
失敗しがちな転職理由その① ― 職場の労働環境が悪いから転職する
これは、とくに規模が小さなWeb制作会社で働いているデザイナーの方の転職理由でとても多いです。
- 残業が多い…
- 土日も休めない…
- 給料が安すぎる…
「もう、こんな会社では働きたくない…!」
労働環境が悪いと、転職を考えたくなるのは当然ですよね。
しかし、ここでひとつ、落とし穴があります。
とくに転職未経験のWebデザイナーの方は、あまり見たくない現実かもしれませんが…ほかのWeb制作会社も、労働環境は似たり寄ったりの場合が多いのです。
もちろん、労働環境があまりにもブラックで精神を病んでウツ病になりそうだったり、体調を崩してしまいそうな状況なのであれば、転職もひとつの選択肢として考えるのは全然アリ。
ただ、同規模のほかの会社に転職したとしても、状況はさほど変わらない可能性もあることは、しっかりと意識しておいて損はありません。
もし、労働環境の改善を求めて転職先の会社を探すときには、ネットで社風や評判を調べたり、面接で労働条件をしっかり確認しましょう。
ちょっとでもイヤな予感がしたら、たとえ内定が出たとしても、勇気を出して辞退することも時には大切です。
失敗しがちな転職理由その② ― 上司・同僚のレベルが低いから転職する
この転職理由は、とくに20代の若いデザイナーの方に、多く見られます。
- こんなレベルの低い会社で働いていても成長できない…
- 自分は才能がある。こんなショボい会社ではなくて、もっと大きな会社で華々しく活躍できるはず…
ある意味で「若気の至り」とも言えるのですが…
とくに、自分や周りの人間の能力を客観的に評価することに慣れていない新人時代には、このような感情を抱くのもムリはありません。
しかし、です。
前述の労働環境のところでお話した内容にも近いですが、制作会社で働いているスタッフのレベルというのは、会社によってそこまで大きな差はないのが現実です。
もし、あなたが「自分の上司はレベルが低すぎる…」と感じて他の会社に転職したとします。その場合、転職先の会社でも、その上司の方と同レベルの人は、ほぼ間違いなくいます。
「そうは言っても、業界内で有名な大手の会社なら、有能な人材が多いのでは?」
たしかに、大手企業のほうが優秀な人材に遭遇できる確率が高いのは事実です。
しかし、大手と小規模なWeb制作会社の両方で働いた経験のある私の立場から言わせていただくと、「大手にもへぼいデザイナーはいるし、小さな会社にも優秀なデザイナーはいる」と断言できます。
上司・同僚の仕事ぶりを一方的に辛口評価してしまい、焦って転職しないよう注意してください。
失敗しがちな転職理由その③ ― 「受託開発」にイヤ気がさして転職する
「注文を請け負って他社のサイトを制作するのは、もうこりごり…」
クライアントからの注文を受けてWebサイトを開発・制作する、いわゆる「受託開発」がメインのWeb制作会社で働いているデザイナーの方で、転職理由で多いのが、これです。
- 他社のサイトを作る下請け仕事はもうイヤ…
- 自社で開発しているネットサービスのデザインを手がけたい…
私も、かつては受託メインの制作会社でディレクターをしていましたので、こう思う気持ちはじゅうぶんに分かります。
しかし、です。
自社サービスを持つ会社に転職すれば、すべてがバラ色になるかというと、そんなことはありません。
あなたが、Webデザイナーとして自社サービスの制作業務をメインとする場合、以下の点はデメリットになります。
- 手がけられる案件のバリエーションが限られてしまう
- 担当できる案件の数が少なくなる(=場数が踏めない)
規模の大きな会社になるほど、サービスの開発・制作を進める中でさまざまな調整ごとが必要となり、開発の進みは遅くなります。
極端な例では、ページに表示する項目をちょっと追加する案件の開発からリリースまで、1か月ほどかかるケースもあります。
しかも、ABテストを実施した結果、よい効果が見られなかった案件は、リリースが見送られてボツになる(=世に出せない)場合も…。
そうなったら、せっかくあなたが制作を担当しても、あなたのポートフォリオに作品として加えることはできなくなります。
自社サービスを持つ会社でWebデザイナーとして働く場合、数多くの案件をこなす、場数を踏んで経験値を増やすチャンスは、受託開発をメインとするWeb制作会社よりも、じつは少ないことが多い。
結果として、自分のポートフォリオに載せられる作品数、バリエーションはどうしても寂しくなりがち。この点は、くれぐれも注意してください。
「〇〇サービスに興味を持っていてどうしても携わりたい!」とか、「どうしてもこの会社で働きたい!」という強い思いがあるのであれば別ですが、単に「受託制作はもうウンザリ」という理由だけで転職するのは、私はオススメしません。
転職で失敗しないためには?
「となりの芝生は青く見える」
いまの職場での人間関係に悩んでいたり、残業続きの日々に追われていると、ついつい、他の会社が良さそうに見えてしまうもの。
でも、今日ご紹介したように、あまり深く考えずに焦って転職を決めてしまうと、「こんなはずではなかった…」となりかねません。
何回も不幸な転職をくり返した結果、履歴書がどんどん汚れていくWebデザイナーの方も、決して少なくはありません。
どうしても転職したくなった時は、決して焦らずに。
目ぼしい会社が見つかったら、心を落ち着けて。まずはじっくりと下調べをしましょう。
例えば、マイナビクリエイターなどのWeb系人材に強い人材紹介会社に登録して、転職エージェントに相談してみるのも、ひとつの手です。(ちなみに、マイナビは登録無料です)
転職エージェントは様々な会社に出入りしていて、内部事情にも詳しいので、あなたの知りたい情報を提供し、失敗しない転職先を探す手助けになってくれるはずです。
大切なのは、冷静な情報収集と下調べ。
あなたの転職が、成功しますように!